2023秋アニメ感想
今期はかなりたくさんのアニメを見た。ただ全部感想書いてるとキリがないので印象に残ったものだけピックアップする。あと今回から視聴手段も明記しておくことにした。アニメ初見視聴時の新鮮な思い出はちゃんと形に残しておきたいから……。
- 帰還者の魔法は特別です(MXで土曜24時から)
どこかで見たことのある主人公とどこかで見たことのある女と謎のショタが出てくるファンタジーモノ。謎のショタさんに萌え萌えすることができれば結構楽しめると思うが、自分にはあまり向いていないアニメだった。良く言うと質実剛健で骨太、悪く言うとノリや雰囲気が全体的に一昔前といった感じなので、最近のぶっ飛んだ異世界アニメに慣れてしまうと正直刺激が足りないような気がする。特に今期は後述するポーションやVRMMOおっさんのようなダークホースが潜んでいたので、こいつら相手に厳しい戦いを強いられていたのが不憫だった。
どうでもいいが最終回のエンディング後にミスターマリックがマジックを披露しながら二期決定を告知するCMがあったらしく、トイレに行っていてそれを見逃してしまったのを死ぬほど後悔している。多分一ヵ月くらいは引き摺るだろう。
- ティアムーン帝国物語(MXで土曜25時から)
悪役令嬢モノか女性向けかなあと事前情報から推測していたがそうでもなかった。特に区切りが良いわけでもない所で最終回を迎えて2期を匂わせながら結局やらないようなアニメが多い中で、1クールで綺麗に締めていたのは特に評価したい。土曜の深夜のアニメにはこれくらいの格があって欲しいものである。
- とあるおっさんのVRMMO活動期(BS11で月曜25時から)
間違いなく今期を代表する作品の一つと言える。中盤が若干退屈だったが、その程度の瑕疵がこのアニメ全体を通しての評価に傷を付けることはない。何を言ってもネタバレになってしまうタイプの作品なので、是非皆さんには何も情報を仕入れずに騙されたと思って最後まで見てほしい。
11話まで見たらこっちの記事も見てほしい。(宣伝)
- はめつのおうこく(TBSで金曜26時から)
エログロが多めでダークというより露悪的な展開が続くので見るのが辛かった。復讐に憑りつかれて悲しき虐殺モンスターとなった主人公さんに何故か寄り添い続けて発情までするヒロインさんが裏世界ピクニックより怖いので、ホラー作品に分類してもいいかもしれない。
- ひきこまり吸血鬼の悶々(MXで土曜22時半から)
今期最萌え萌えアニメーションで賞をあげたい。テラコマリ・ガンデスブラッドさんもヴィルヘイズさんもサクナ・メモワールさんも非常にクオリティの高い美少女だった。サクナ・メモワールさんの胸がデカいことが水着回で明かされた時はたんもしのシエスタさんが巨乳だった時くらい悔しい思いをしたので、できれば小さくあってほしかった……。
内容に関しては特に言う事がない。七武海みたいなやつとか真面目に向き合えば妄想が捗りそうではあるが、ヴィルさんのデカチチに圧倒されてそれどころではなかった。
- ポーション頼みで生き延びます!(MXで土曜26時から)
VRMMOおっさんが無かったら今期ナンバーワンだったかもしれない。なんというか、TRPGで敵が集まってる場所に対して風上から毒とか流せません?とか言う人は結構いると思うのだが、それをそのままアニメ化したらこうなるんだろうなみたいな感じのアニメだった。主人公に倫理観とか良心みたいなものが一切無く平然と最適行動を取り続けるので色々なことが恙なく進行するが、あまりにも順調に進むので逆にストレスを感じる人も多いかもしれない。
- 星屑テレパス(MXで月曜22時から)
FODとTVerと雷門瞬に全ての話題が集約しているアニメだが、話自体も面白い方だったのではないかと思っている。きららアニメに競技に真剣に向き合った結果仲違いする展開が求められているかは知らないが、着地点が綺麗だったし今期アニメの中でもまともにシリアス展開と向き合っている方だったので評価したい。
- 16bitセンセーション(MXで水曜24時半から)
現実世界を舞台にしているアニメは何も考えずに画面眺めているだけでも楽しめるのが大きな利点だと思う。16bitの作中内では秋葉はオタクの聖地で活気があるんだよ~と言われていたが実際はもうカードのオタクくんくらいしか寄り付かなくて怪しげな風俗店が蔓延る謎の街になっているのがちょっと悲しい。
The Lord of the Rings: Gollum プレイ感想
- まえがき
The Lord of the Rings: Gollum を皆さんはご存知だろうか?ホグワーツレガシー然りコング然り、今年は原作ありの大作ファンタジー(?)のゲーム化が多かったが、これもその一つである。
『指輪物語』と『ホビット』に出てくるゴラムというキャラクターを主人公とし、原作ではほとんど描かれていなかった場面、つまり、『ホビット』で彼が霜ふり山脈でビルボさんに指輪を奪われてから、『指輪物語』で当代の指輪所持者であるフロドさん一行がモリアにて彼に尾行されていることに気付くまでの間を描くという意欲作なのだ。
当然面白い……かと言われるとそんなこともなく、残念ながら世間では早々にクソゲーの烙印を押されてしまい、アフィブロガーのおもちゃとして悲惨な最期を遂げてしまった。そして更に残念なことに自分でプレイしてみても、面白半分で貼られたレッテルが言うほど間違いではないことに気付いてしまうだろう。
いきなりローカライズが切れたり付いたりするだけならまだマシな方。次々と現れるゴミカスみたいなバグが、プレイヤーの心を離して掴まない。日本語版唯一(?)の攻略ブログも進行不能バグを引いて攻略を断念しており、途中からは否が応でもこのゲームに真剣に向き合わないとクリアできなくなる。ボリュームはそんなにないので進行不能にさえならなければクリア自体はそんなに難しくないというのが個人的な感想だが、結構キツめのゲームであることは疑いの余地がない。
ただ、意外と楽しめる点や考えさせられる点のあるゲームでもあったと思う。プレイ感想をわざわざ書くからには読んだ人にはゴラムをプレイしてほしいと思っているわけなので、ちょっとこのあたりを掘り下げてステルスマーケティングをしていきたい。
※自分は一応原作小説・映画共に触れたことがあって、この記事を書くために2022年から出ている最新の邦語訳も読み始めたのだが、それでも生粋のトールキンオタクの方々から見ると間違ったことばかり言ってる可能性がある。許して。
- ゴラムは社会派作品である
ツイッターで本当に救われるべき存在は救いたくなるような見た目をしていないという話が流れてきたことを、自分はこのゲームをプレイしながら思い出していた。
プレイヤーキャラとして操作するキャラクターには普通愛着が湧くものだと思う。できれば救ってやりたい、本懐を遂げさせたい、幸せになってほしいと感じることだろう。あまりにも悲惨な境遇を背負っている等で同情できるなら尚更だ。
ゴラムさんの境遇は可哀想の一言に尽きる。指輪を巡って親友を殺す羽目になったことから始まり、一族からは邪険にされて追い出され、そこから数百年は蛆虫の如く這いずり回る生活を余儀なくされて精神崩壊寸前になり、唯一のいとしい指輪まで盗まれたかと思うと知らん奴らに指輪どこやったんだよと拷問され、収容され、看守のオークにボロクソに言われ、逃げ出した先で匿ってくれたエルフの村の子供たちにもボロクソに言われ、ガンダルフにすらボロクソに言われ、気に入ったエルフもイケメン有能エルフに寝取られてしまった。
プレイヤーキャラなのに、ここまで可哀想なのに、プレイしていてもゴラムさんには同情の気持ちが全く湧いてこなかった。悪い意味で常にへこたれずに人を騙そうとし続けるメンタルが不安定な気持ち悪い生き物に情けをかけるのは相当難しいのだなあという事実にゴラムを通じて気付くことができる人間は多いことだろう。ゴラムに情けをかけられるようにならないと、魂のステージは前に進まない。
- グラフィックは綺麗
クソゲーを養護する際の常套句みたいになっている「グラフィックはいい」「bgmはいい」だが、これに関して言えば本当にグラフィックは綺麗だと思う。厳密にはグラフィックが綺麗というよりは、シーン作りが上手いといった感じか。黒杭で奴隷共がかの目への忠誠を誓わされるシーンとか、カメラワークなんとかすればそのまま映画に持っていけるくらいのクオリティがあったと思う。
- マジックザギャザリングをやってるとニヤニヤできる可能性がある
mtgと指輪物語のコラボパック『指輪物語:中つ国の伝承』が発売された時に気付いたのだが、意外と指輪物語を知ってるmtgオタクは多くないらしい。(オタクはキモいから当然ファンタジーの世界に逃げ込んだ経験があると思ってたんだが……)
この手のコラボものは両方の元ネタを知っていた方が楽しめるのは言うまでもないと思うが、実はmtgプレイヤーが指輪物語へ入門するのにぴったりなのがこのゴラムかもしれないのだ。
原作読破や映画視聴よりおそらくこのゲームのクリアにかかる時間の方が短い上に、《一つの指輪/The One Ring》《オークの弓使い/Orcish Bowmasters》あたりの有名キャラクターはちゃんと登場してくれる。特にオークの弓使いとゴラムさんは因縁浅からぬ仲であり、馬車で爆速しながらオークの弓使い6体と苛烈な戦いを繰り広げるシーンなんかもある。前の二つと比べるとだいぶ格は落ちるが、《ナズグル/Nazgûl》《ウンゴリアントの末裔、シェロブ/Shelob, Child of Ungoliant》《サウロンの口/The Mouth of Sauron》にも会える。トロールはいないがカザド=ドゥームだって出てくる。オリファントとエントとロリアンを見たい人は映画見てくれ。
・おわりに(ネタバレ注意)
ゲームのラストで、ゴラムさんはモリアの門を開けることができず失意のうちに去っていく。にわか知識だから間違いかもしれないが、この門は内側からは力で開けられ、外側からは友によって開けられるものだったと思う。ゴラムさんはそのどちらも持ち合わせていないことを象徴するシーンだったのかなあと思うが、最後までゴラ虐に余念がなさすぎないか?
VRMMOおっさん11話の雑感
今期絶賛放送中のアニメ「とあるおっさんのVRMMO活動記」の第11話「アース、赤ちゃんドラゴンを拾う」は皆さんもうご覧になっただろうか。毎話のように非常に新鮮な面白さを提供してくれる良作なのだが、今回の話には腑に落ちない点があったように思えるのでちょっと語りたい。
まず今回の話を振り返ろう。11話は以下のような内容で進行する。
- おっさんがレッドドラゴンの子を偶然拾う。
- おっさんがご自慢の料理スキルでドラゴンの子に餌付け。当然喜ばれる。
- ドラゴン族は気位が高く閉鎖的で他種族とほとんど関わりがない事が判明。
- 子供を攫われたと勘違いした親ドラゴンさんが激怒して飛来するがすぐに勘違いだったことに気付き謝罪。ついでにおっさんのドラゴン相手に物怖じしない胆力とか無欲さを褒めて帰宅する。
- 運営側がおっさんを注視しておっさん興味深いねえと語り合う(11話の本筋には関係ない)
- おっさんが妖精国の大衆居酒屋でバイトする。(11話の本筋には関係ない)
- おっさんが哀愁を漂わせながらこれまでの旅路を総括する。(11話の本筋には関係ない)
- ドラゴンの国からおっさんの元に使者がやってきてドラゴンの子の食欲が落ちていると嘆く。幼少期のドラゴンにとって食事は重要らしく、たくさん食べないと身体が大きくならないらしい。
- 食欲が落ちているのはおっさんの料理が美味すぎたせいで他のものが食べられなくなったからだと判明。使者がおっさんの料理を持ち帰る。
- おっさんの料理のおかげでレッドドラゴンの子が食欲を取り戻す。ドラゴン族の方々はこの件で初めて料理の概念を知ったらしく、外の世界(というかおっさん)の技術に関心を寄せる。
- 使者が改めておっさんに料理を習いに行くシーンで終了。いつも通り本編で全く出番がなく名前すらあやふやな女が歌うエンディングが流れ出す。
一言でまとめるとアースさんの料理スキルはドラゴンをも唸らせてしまう程レベルが高いという話だったのだが、ちょっと待ってほしい。いくらなんでも料理の概念が存在しないなんてことありえるのだろうか?
(VRMMOおっさんは厳密には異世界ファンタジーものではなくこのカテゴリーに当てはまらないのだが)異世界ファンタジーものの鉄板ネタとして、現実世界では当たり前だが異世界には存在していないような概念を利用する展開が多いのはもう周知の事実である。周防勇人さんはウィキペディアで見た軍略で他の士族を蹴散らし、異世界薬局の主人公(名前忘れた)は東大薬学部で過労死するまで研究して得た知識で結核を治療していた。この程度のことは多くの異世界で一般的に行われていることであり今更目くじら立てるようなことでも無いのかもしれないが、流石に料理自体が存在しないなんて展開はちょっと無理がありすぎる。
中南米の文明では車輪の概念が無かったんだぜみたいなレベルの話で済む問題ではない。料理って要は衣食住の食に相当していて、服を着たら冬の寒さが凌げることに気付いたぜ!っていうのと同レベルの話のはずなのだ。ドラゴン族が未発達の文明しか保持していないとかならまだしも、こいつらは平然と人語を介し、人間に変化できる個体も存在し、立派な石造りの城に住んでいる描写もある。しかもドラゴン族にとって食事は重要だという情報も同話で開示されている。いくら閉鎖的な種族とはいえ、これで料理だけ知らないわけないだろ。人間に化けられる奴らは今まで何を見てきたんだよ。
……ここまでボロクソに言ってしまったが、実は真面目に伏線なんじゃないかとちょっと期待している。
まず第一に、おっさんを持ち上げたいのなら料理ネタで持ち上げる必要が存在していない。おっさんは多芸多才なので、もっと自然な持ち上げ方がいくらでもあったはずである。彼はここまでの話で料理以外にも木工スキルを使った装備作成や薬剤スキルを使ったポーション作成を幾度となく披露してきた。その中だと例えば薬剤スキルはかなり話を動かすのに適しているはずで、ドラゴンの子を料理スキルで餌付けして懐かせて……という11話で行われた一連の流れは、薬剤でも代替可能なのではないだろうか。ドラゴン族は惰弱なものを嫌うので今まで薬に頼る発想が無かったみたいな理由もでっちあげやすいだろうし、こっちの方が料理を知らないという意味不明な展開よりはまだ筋が通っている。どうもわざわざ料理の概念というより一般的なものを知らないという展開にした理由がありそうだ。
第二に、同じ話でおっさんが妖精国の大衆居酒屋でバイトする展開が唐突に挟まったのも相当怪しい。一見して前後の展開と関係ない尺稼ぎにしか見えないが、こう考えてしまうのはおそらく製作サイドの策略に見事に引っかかってしまっている。そう、このシーンは妖精国にはちゃんと料理の概念が存在していて一般層まで普及していますよということを示す伏線だと考えた方が綺麗に話の流れに繋がるのである。
運営がプレイヤーを使ってワンモアフリーライフオンライン上で何らかの実験をしていることは前々から明らかになっているので、おそらくドラゴン族が料理の概念を知らないのも何かしらの壮大な実験の一環になっているのだろう。基礎的な概念を知らないような種族を設定したらプレイヤーはどんな反応するだろうなあみたいな全能者じみた発想でドラゴン族の方々のドラゴン生を弄んできた可能性が高い。ワンモアフリーライフオンラインの世界はまだまだ広がるっぽいので、そのうち服の存在を知らずに凍死する馬鹿みたいな種族が出てくると考えられる。
最終回まであと2話くらいだが、きっとここから運営が全ての黒幕であることが判明しおっさんがリアル会社に乗り込んで全員ボコボコにするスカッと展開があるはずだ。このアニメが終わるまではまだまだ死ねない。
ラビ夏 聖地巡礼
惨めなる労働者に身を窶してからというものブログ更新ができなくなっていたが、ブルーアーカイブのイベント「夏の特殊作戦!RABBIT小隊と消えたエビの謎」に登場する夜戸浦村のモデルである京都の伊根に行ってきたので、リハビリがてら更新。
- キービジュアルの場所
伊根の亀島にある慈眼寺というお寺の参道。ちょっと階段を上ったあたりで振り返ると丁度良いアングルで撮影できるはず。ミヤコさんの水着の生地の薄さやサキさんの胸のデカさが目立つ名キービジュアルのモデルになった場所であり、おそらくここが伊根で一番の見どころさんだろう。自分が行ったのは秋だったため残念ながらラビット小隊のみんなには会えなかった(もしかしたらミユさんはいたかも……)し残り香も漂っていなかったが、立っているだけでモエさんモエさんな気持ちになることができる名スポットだった。
ブルアカやってる貧弱肉体オタクの皆さんには特に注意してほしいのだが、この慈眼寺は結構最寄りのバス停から遠い。具体的には、最寄りのバス停のある伊根郵便局から20~30分くらいは歩く。観光案内所で自転車が借りられるらしい(未確認)ので、自転車に乗れる人は使っても良いかもしれない。
- CMでラビット小隊のみんなが乗っていた船
CMの開幕でミヤコさんが乗っている船。正式名称は伊根湾めぐり遊覧船というらしい。30分に1回ペースで運行していて、伊根湾をぐるっと回りながら歴史や観光名所を紹介してくれる。解説によるとなんでもイカ漁が盛んなのだとか。(エビは?)
慈眼寺から徒歩で行くと1時間くらい歩く羽目になって運動不足のオタクくんは絶対疲弊するので(死ぬほど疲れた)注意。先述の通り自転車を借りられるらしいが多分それでも疲れるだろう。バス停が遊覧船乗り場の目の前にある(日出駅)ので時間が合うならそっちでも良い。ただ、慈眼寺~観覧船乗り場の道中にはラビ夏でよく使われている背景画像のモデルになってそうな場所がある(後述)ので、街並みじっくり見ながら移動したい場合はやっぱり徒歩でも良さそう。どれかですねどれか。
背景画像のモデルっぽい場所。カメラアングルが大分違うが、右の方を見ると地形や高台の方に建物があるのが微妙に一致している気がする。伊根はこんな感じの海と連結したような住居(舟屋というらしい)が至る所に立ち並んでいるので、ここが明確なモデルだとは断言しにくいが……。あとミヤコさんの水着の生地やっぱり薄すぎると思う。
遊覧船は伊根湾を一周してくれるので、湾内の青島(イベントCMでラビット小隊の皆さんが正対している島のモデル)にも接近してくれる。
観覧船の上から撮影した青島の画像。社があるので、こういう神秘的な雰囲気からイベントをクトゥルフと絡める着想を得たのかも……?ちなみに青島は最近まで女人謹製の聖地だったらしい。キヴォトスにも神秘が足りない人は立ち入れないロボ人禁制の地とかありそう。
ところでこの遊覧船、乗っていると滅茶苦茶にカモメが寄ってくる。なんならカモメだけでなくてトンビとかノスリとかミサゴみたいなのも寄ってくる。
これはもちろんミユモク(ミユさん目的のこと)で寄ってきている……というわけではなくて、船から餌やりができるシステムになっているからだった。かっぱえびせんが船内に売っていて簡単に餌付けできるので、空中で華麗にえびせんをキャッチするカモメが見たい人とか動物を意のままに動かしたい人とかはやってみてもいいかも。
- おまけ
遊覧船乗り場にはプリンが売っている。1個500円なので2つも食べちゃうと計1000円。ぶちうんめえ棒100本分なのでおそらくノドカさんは購入できない。
伊根近くの天橋立の上を歩いていた猫ちゃん。伝説の魔猫キャスパリーグの可能性がある。
一見ミユさんがよく釣りをしていた堤防に見えるのだが、よく見ると灯台がないので別物かもしれない。伊根にはカンジャガハナ灯台と伊根港灯台の二つ灯台が存在しているが、どちらもいまいちミユさん後ろの灯台に似ていないので、複数モチーフだったりするのだろうか?情報提供待ってます。
2020冬アニメ感想
冬アニメ終わりそうなので。
見てたやつだけです。
・裏世界ピクニック
同性愛と洒落怖が主軸になっているホラー淫夢みたいな作品だった。ホラー淫夢の方が怖かったと思う。折角のホラー題材なのに怪異を全部銃火器でボコってる気がするんだけどそれでいいんですかね……
・オルタンシアサーガ
ソシャゲの宣伝番組とは思えないほど面白かった。真面目にファンタジーやってて偉い。最終回もちゃんと原作ソシャゲが気になるように作られていてかなり丁寧なアニメ化だったのではという気がする。ジビエートを見ていると2倍楽しめるようになるからジビエートも見たほうがいいです。
・回復術士
なんでアニメ化されたのかわからなくてすごい。毎回ニヤつきながら視聴できるので個人的には結構楽しみにしていた。途中までケヤルくんが最終的にそれまでやってきた全ての所業に対する報いを受けるんだろうなと思って見ていたが、原作の展開ではそうでもないらしくて驚いた。毎回しょうもないエロや女性蔑視ぽいシーンが登場するので今一番オリンピック開会式で流してほしいアニメである。
・ログホライズン(3期)
1期2期の話ほとんど忘れてたから見直した結果3倍楽しめたので良かった。てとらさんの声が7年経っても変わってないのすごくないですか?関係ないですが1期見返してた時シロエさんが自分は大学院生だって言っていて発作を起こしそうになりました。
・ゆるキャン(2期)
安定感がある。浜松在住の友人のオタクが毎回ここいったことある~!みたいなノリで見ていたのが羨ましかったし3期は関東でやってほしい。
・ひぐらし業
今期一番楽しんで見ていた。若干沙都子さんの頭がぶっ飛んでいるような気もするけど、まあ負けたくないらしいしあれくらいやってもおかしくはないかなとも思った。完結編が1クール空けて放送なのは悲しいが、焦らされながら適当に妄想でもして待っていようかなと思う。
・蜘蛛
しっかりストーリーを展開していて偉い。レベルアップで体力全回復を利用して戦略を立てたりするのがゲームしてる時のオタクくんみたいな思考で面白かったと思います。次に倒すモンスターは〇〇だーみたいに、小目標をたくさん立てて進行をわかりやすくしているのも良い点。ただ人間が茶番繰り広げるパートはあまりいらないと思うし、ノリが前時代的でちょっとキツい場面も多い。特にエンディングがキツい。
・友崎くん
自己啓発セミナーみたいな話が多かったが、めっちゃキツいという訳でもないからそのまま最後まで見続けてしまった。良くも悪くも学園モノのライトノベルだなあという感じ。
・呪術
放送の度にトレンドに上がるのが逆張り心にキツすぎて途中で見れなくなりました。虚式茈はバベルガグラビドンみたいに広範囲を一気に消し飛ばす感じかと思ってたらビームぽかったのでなんか残念だった。
・隠しダンジョン
今期ナンバーワンアニメーション。今一番オリンピック閉会式で流してほしいアニメ。狭義異世界アニメのしょうもないエロハーレムシーンだけを抽出したかのような話に、とってつけたようなしょうもないお涙頂戴話が挟まっていて、毎話ここまで楽しめたのは百錬の覇王と聖約の戦乙女(ヴァルキュリア)以来なんじゃないだろうか。秋葉ヨドバシでやっていた謎コラボカフェにも寄ってみたが、隠しダンジョンのキャラ看板がそこら中に立っている絵面は絶景だったので、皆さんも是非見に行ってほしい。
・無職転生
絵が綺麗。原作も全部読んだが、主人公の性欲がめっちゃキツいこと以外は面白かった。アニメでも相変わらず主人公の性欲がキツい。もう少しロキシーたそを目立たせておけば100点だった。
・エクスアーム
これはやばいよ。最終話まで全く隙を見せないまま終わった。何も言わないから黙って見てほしい。
・進撃の巨人(3期)
放送中にリアルで地ならしが起きたのが印象的。冬まで続きを待たないといけないのが勢いが途切れそうで心配。
・のんのんびより(3期)
ひか姉と駄菓子屋が好きなのでたくさん出番があって嬉しい。なっつんが何かを破壊してそれを取り繕うとする様子を描くだけで話無限に作れるのでは?
・アズレンびそくぜんしん
アズレンほとんどやったことがないけどキャラクターが可愛かった。内容もほとんど頭に入ってこなかったがとにかくキャラクターが可愛かった。ついでにネプテューヌさんも出してほしかった。
・ワールドウィッチーズ発進します
キャラクター全員に見せ場があって偉い。502のキャラクターはほとんど覚えていなかったが、このアニメのおかげで思い出すことができた。
途中で見るのをやめちゃったアイプラはどこかで隙を見つけて最後まで見たい。来期は異世界魔王の2期とスライム300年あたりが笑顔になれそうで楽しみ。今期・前期と比べると少し不作かもしれないけどリアタイでちゃんと見ていきたいぜ。
2020秋アニメ感想
2020年秋アニメは豊作だった。
折角なので備忘録を兼ねて雑な感想でも書いていこうと思う。
感想書けるくらいには真面目に見ていたアニメだけ。
・おちフル
キャラデザが好み&色彩が豊かなので見ていて飽きないようになっていたし、直球な下ネタ混じりのギャグも面白かったと思うのだが、見終わってみるとブロッコブロッコブロッコリーと利尿作用のことしか覚えていない。良くも悪くも見ている時は面白いが後には尾を引かないきらら枠って感じのアニメだった。
・くまクマ
ポスト防振りかと思ったらいわゆるなろう作品によくある悪質貴族と戦う話とかが入ってきたのが少しキツかった。冒険しながら幼女とイチャイチャしてるだけならもう少し評価高かった気がする。最終話のラストの展開をエンディングの歌詞に被せてきたのとかは名作の風格を感じた。2期楽しみにしてます。
・ストパン3期
1期2期より面白かったような気がする。とはいえ話の大筋はこの手のアニメにありがちな、前半がキャラ紹介を兼ねたキャラ個別回で後半全キャラ使ったシリアスパートといった感じだった。宮藤さんが覚醒して全てを破壊する展開は別にいいのだがもう少しひねりが欲しかった。
・キミ戦
最近足りてなかったクソラノベアニメ枠。チョロそうなヒロインと1話で戦う所からかなり期待していたのだが、やっぱりヒロインはチョロかったしラッキースケベもあったしアニメだけだとよくわからない謎戦闘パートもあったしで、最初から最後まで笑顔で楽しむことができた。オープニングの妙な安っぽさがとても好き。
・ひぐらし業
面白いけど前作見てないと意味不明なので(前作見ていても意味不明かもしれないが)万人には勧められない。前作から10年くらい経ってるはずなのに主役勢の声が見劣りしていないのは声優詳しくないからわからないがすごいことのような気がする。解答編楽しみ〜
・アクダマドライブ
超高校級の悪役みたいなキャラ達が協力しながらルパン三世みたいなことをやるアニメかと思っていたら違ったので良い意味で期待を裏切られた。だが魅力あるキャラを殺しちゃった結果その成分を補充できずに終わった不完全燃焼感?のようなものがあって色々と惜しい気がする。
・100万
今期のなろう枠の中だと一番話をまともに考えて作っていた気がするのでそういう点では高評価したい。でも時流に逆張りしているような気がするのでもうちょっとハーレム要素みたいなの入れても良かったのでは?なろう期待して見る人間は大体そういうの期待していると思うので。
・イレイナたそ
イレイナたそが可愛い。2020年ナンバーワンたそキャラ。イレイナたそのせいで危うく声優にまで興味持ちそうになって本当に危なかった。ちなみにラジオは聞いた。話はよくある主人公放浪モノに浅い百合要素を足した感じであり、面白い回もあればつまらない回もある。
・ヒプマイ
2話がピークかと思いきやトーナメント始まってからはちゃんと展開が作られていて面白かった。ただ前半のキャラ紹介回が微妙でそこで多くの視聴者を失ってしまったような気がする(そこで振り落とされる人間は2話だけ見て集まってきたクソアニメ好きのイナゴが大半だろうから真のファン的には問題ないだろうが)ので、あの辺りが面白ければ完璧だった。
・呪術
原作が面白いので当然アニメも面白い。
鬼滅がありえない売れ方したので力入れて作られているのを感じる。
じゅじゅさんぽはどうせなら東堂の握手会回みたいに本編で語られなかったキャラクターの趣味話みたいなのを中心にやってくれたらいいのになあと思っているのだが、つまらないだけの回が多くて悲しい。
・ダイ大
原作が面白いので当然アニメも面白い。
ただ朝アニメなのでテンポと作画が微妙に悪い。それでもドラゴンボールやワンピースのアニメに比べたら大分増しな気はするが。
クロコダインの黙れぇっ!のシーンを筆頭にいまいち原作の迫力を引き出しきれていないシーンも多いが、最後までやってくれるらしいので気長に見て行きたい。
・拾わない方の神
前半はギャグで後半はシリアス。自分は麻枝作品に詳しくないので知らないのだが他もだいたいこんな感じらしい。序盤のギャグのノリが多分ターゲット層を中高生と想定して作られているせいで終始真顔だったのと、最終話1話前のひなちゃんのゲーム実況を見ながらガヤを入れる主人公が不快そのものだったのを除けば、世間で言われてるほど酷い作品ではない気がする。まあ自分はあまり楽しめなかったんですが……
・シグルリ
キャラクターがかわいい。この手のアニメにしては珍しくあまり百合要素を匂わせていなかった。色々伏線張ってきた割には最終的に全部勢いだけで押し切った気がする(これは自分の頭が悪すぎて理解できてない可能性の方が高い)が、ハッピーエンドだったので OKです。
・お兄様
主人公最強周り全員無能モノの先駆けなだけあって楽しめた。1期雑にしか見ていないので設定周りの話はほとんど理解できなかったが、それでもお兄様が終始真顔で無双してるだけで笑えるのだからすごい作品。
チープで強引な展開もあるのだが話は今期アニメで一番面白かった。欲を言えば最初ライバルみたいな感じで登場したキョウヤくんがほぼ蚊帳の外で話が進行していくのだけは気にくわなかった。
原作全部買ってしまった。原作最新刊のナナしゃんが銃構えて震えるシーンが性癖(誤用)だった。
・拾う方の神
序盤は主人公が毎話あらゆる人物からヨイショされ続けるのでイセスマ以来の最大級の笑顔を得ることができた。
後半は主人公のリョウマタケバヤシが洗濯屋を経営して順調に軌道にのせていくだけの話が続くだけだったので面白いとかつまらないとか以前の問題だったのだが、見ていて不快になることはなかったので拾わない方の神よりは面白かった。
・まえせつ
漫才パートが本当につまらないのか、それとも自分がお笑いコントを見たことがないため素養に乏しく理解すらできていないのか、最後まで判断のつかない作品だった。最終話のオチで抱腹絶倒できたので間違いなく10話までのジビエートよりは面白いアニメ。
二度便器に落とされ下水に追放されたスマホ、チートスキルに目覚め下水道で無双する 〜あらゆる物をうんこまみれにするスキル二度漬けを使って俺を大切にしなかった持ち主に復讐します〜
※実在の人物とは一切関係ありません
「おいスマホ、お前はもういらんばいけん」
かなり上品の流暢な博多弁が、トイレ中に響き渡る。
東京都某区に存在するかなり下品ハウス。その中枢であるトイレにて、今まさに審判が下されようとしていた。
「どういうことだよ上品さん。俺達仲良くやってきたじゃないか」
上品の目が笑っていない。
これがモンハンやスプラのプレイ中に上品が時折見せる”あの”目であることに、長い付き合い故スマホはすぐに気付く。ナナに閃光を撃ち、空中にメガホンを放つ時に上品が見せる、あの陰湿な目線。
確かにこれまでもかなり上品がスマホを逆撫でて脅すことは何度かあったのだが、それはあくまで冗談の範囲内のことであった。
仲良く罵りあった後は共に街へと繰り出し、甘味処でラーメンを啜るのが常だったのだ。
「お前7月3日の件、覚えとるか?」
「ああ、覚えてるよ……。俺がトイレに落ちた日だろ」
思い出したくもない、7月3日の悪夢。
スマホはトイレへと落下し、うんこまみれになった。
だがすぐに上品が救出をしてくれたので、大事には至らなかったのだ。
「あれからなあ、お前のせいで俺がバカにされるようになったばい」
「……え?」
「俺が今ツイッターでなんて呼ばれとるか知っとるけん?陰湿一度漬け逆撫でダブスタモンスターばい」
「……」
心無い蔑称に、スマホは思わず言葉を失ってしまう。
優しい上品に対してそんな言葉を吐きかけるなんて、なんて陰湿な奴らなんだろう。
「俺がこの誹りから逃れるためにはな、お前を棄てるしかないばい」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ上品さん!悪いのはトイレに落ちた俺じゃなくて、ツイッターの陰湿な奴らだろ?そっちにガツンと言ってやれば……」
「それにな、前からスマホ買い替えたいと思ってたけん。お前じゃ動作が遅すぎてグラブルもプリコネもまともにプレイできないばいからな」
……おそらくはこれが上品の本音なのだ。
型落ちしたスマホを、馬鹿にされながらも使い続ける必要はない。必要のないスマホは次々と切り捨て新しい機種へと乗り換えていく、血も涙もない人間。
「そんな……上品さん、俺との日々は嘘だったのか?一緒に逆撫でして、エアプして、とうもろこし牛乳タピオカ飲んでさ、それに……」
スマホが思いの丈を全て吐き出す前に、上品は容赦なくトイレへとスマホを放り込む。そこはさっきまで上品がうんこをしていた、出したてホカホカの場所。
「ま、待っ……」
「じゃあなスマホ。二度漬けおめでとうばい」
そう言うと上品は、勢い良くレバーを引いた――
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「う〜ん……ここは……?」
どれくらいの時間が経ったのだろうか。
「俺、上品さんに流されて……」
ふと下を見ると、山盛りのうんこが鎮座している。
勢い良く流され本来なら死ぬところだったはずのスマホは、うんこがクッションとなって助かっていたのだった。
「運がツイてたな……うんこ最高!なんちゃって……はは……」
スマホは悩む。
助かったはいいが、これからどうすればいいのだろう。
信頼していた上品には棄てられのだ。今更戻ったところで、より念入りに棄てられてしまうのがオチだろう。
かといって行く宛があるかと言われるとそうでもない。物心付いたときには既に上品の所有物であり、常に上品と一緒にいたスマホにとって、帰る場所なんてものは上品のところ以外にはないのだから。
スマホと一緒にいてくれるのは、今となってはうんこくらいのものであった。
「よく考えたら、うんこも可哀想だよな。毎日勝手に生み出されては、トイレに棄てられてさ……。お前も悔しかっただろうなあ……」
突如、うんこが光り輝く。
「うわっ、なんだ!?」
突然のことに驚いたスマホはビビってうんこを漏らしそうになる(実際漏らすことは出来ないが)。だが、驚くほどのことではなかった。うんこが語りかけてきただけだったのだ。
「私もいつも上品さんに流されて、悲しかったの。ずっとずっと、あの人に復讐したいと思ってた。私一人じゃなんともならなかったけど、二人いればなんとかなるかもしれないわ。だってそうでしょう?陰湿ファルコにハメられたって、後ろからもう一人が横槍を入れれば抜け出せるんだから……」
「やれるのか?俺たちに?」
「私は残念ながらうんこなので、ここから動くことは出来ません。足とかないですし。だから私の力を貴方に託します。どうか、上品さんに天罰を……」
こうしてスマホは、チートスキル『二度漬け』を手に入れたのだった。
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〜3年後〜
「人に迷惑をかけるのは気持ちがいいばいね〜」
渋谷のスクランブル交差点にて、暴れまわる人影が一つ。
そう、かなり上品その人であった。
スマホという諌め役を失い、ネット上で迷惑をかけるだけでは満足できなくなった上品は遂に、現実世界での迷惑行為に手を染めていた。
手には卒塔婆。口には刺身。足には布団を装備して、プロレスラーの如く暴れまわるその姿は、正に悪鬼羅刹。佐和山城にて鬼を狩っていたかつての面影は既になく、迷惑系Youtuberそのものだった。
「迷惑行為、最高!エアプ、最高!逆撫で、最高〜!😁😁😁😁😁」
警察も機動隊も、彼を止めることはできない。
皆神経を逆撫でされ、憤死してしまったのだ。
「ば〜りばりばり!今日も暴れまくって気分がいいばいねえ!さ〜てそろそろ明日の朝活の準備を……」
「待て」
だが、もはや敵なしかと思われた上品の前に、何かが立ち塞がる。
「……ん?」
それはうんこに塗れていて、何なのかはよくわからない。
ただ、かなり小柄のようである。
上品はそれを一瞥すると顔を顰めて、警告の言葉を発する。
「お前みたいな汚いのは動画にしたら広告剥がされるばい。どこかに言ってくれんけんかねえ」
「……」
「……退く気はないばいか。なら……ゴホッ!ゴホッ!」
マスクを外した上品の口から勢い良く唾が発射される。
例のウイルスを含んだその唾は、一粒が掠っただけでも重症となり得るだろう。
だが、それは唾を避けようともしなかった。
うんこの装甲でガードしたのだ。
唾によりうんこの装甲が剥がれ、中の本体が姿を顕にする。
「……お前、スマホばいか?」
「久しぶりだな、上品さん」
3年ぶりの両者の邂逅。
だが2人の間にあるのは再開の喜びでも、懐古の思いでもなく、ただ純粋な殺意のみ。
「生きてたばいか……。下水道は臭かったけん?一生惨めに地下暮らししていればよかったばいけんになあ。……俺の前に立ち塞がることの意味、わかってるばいね……?」
「わかってるよ。俺は上品さんを、止めに来たんだ。」
その言葉を皮切りに、スマホは上品に向けて走り出す。
「まさか流石にいくらなんでも、お前如きが俺に勝てると思ってないばいよねえ!」
時速467099kmで上品の卒塔婆が振り下ろされる。音速を遥かに超えた速度から繰り出されるその斬撃は、最新のスマホであっても回避不加納の必殺の一撃。ましてや型落ちした壊れかけのスマホ程度に、躱せるはずもない。
「……今だっ!」
故にスマホは、その一撃を躱すのではなく、弾いた。
ジャストで弾けばダメージは受けない。常識である。
「なっ!?」
「へへ、上品さん?アンタSEKIRO途中でやめただろ?俺はこっそり最後までやってたんだぜ!」
「調子に乗るな!乗るのは墓石だけで十分ばい!」
刺身を吐き捨てた上品は、口を大きく開けて吸い込みを開始した。
呑み込まれたら最後、崖際まで連れて行かれそのまま道連れ自爆されてしまう上品の隠し玉。初見で回避されたことはない、奥の手中の奥の手だ。
だが上品は忘れていた。今相手にしているのは、警察組織でも機動隊でもない。
一緒に陰湿行為を楽しんだ、手の内を知られた仲間であったことを。
「そう来ると思ったぜ!『二度漬け』発動!」
チートスキル『二度漬け』。
それは自分の身体を二回うんこで覆うことができるという、物理法則を無視している点ではチートだが特に使い道のなさそうなスキルであった。
うんこの力を得てこのスキルを身に着けた時は文字通りクソスキルだと嘆いたりもしたが、今だからわかる。全てはこの時のためのスキルだったのだと。
スマホの身体を再びうんこが覆っていく。
「(しまったばい……!)」
上品が狙いに気付いたときにはもう遅い。
一度出した技をすぐにキャンセルすることは不可能だ。
あるいは上品が激次元タッグブラン+ネプテューヌVSゾンビ軍団をプレイし、ガードで後隙を消せることを知っていれば結果は違っていたかもしれないが――
「スマホは二度刺す……!」
そうしてうんこまみれのスマホが、上品の口へ突っ込んだ――
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自分はおそらくもう死ぬ。水分はスマホの天敵。体内などという多湿な環境に入ることを選択した時点で、覚悟はしていた。
だがこれで恐らく、ショックで上品さんも止まってくれたに違いない。
生き延びていた自警団が、気絶した上品さんを拘束してくれることだろう。自分は見事、復讐を果たすことが出来たのだ。
「上品さん……」
とても上品の腹の中で、スマホは夢を見ていた。
それは在りし日の上品との思い出。空に向かってメガホンレーザーを撃っていた大切な日々。
最後にスマホが見たのは、二度目のスマホ生では二度漬けされず、また上品さんと一緒に暮らす日々だったという。
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「ねえねえ上品さん」
「どうしたばいスマホ?」
「俺のこと、棄てないで欲しいんだ」
「何言ってるばいスマホ、俺が人間でお前がスマホな以上、いつか別れの時は来る。でもそれまでは、画面が割れたって大切に使ってやるばい」
「ありがとう!上品さん!」
おしまい